2024年 6月号
後生、畏るべし
今年度の活動方針に新たに加えましたテーマ「世代を超えて、国境を超えて」のうち、今月は「世代を超えて」についてお話しいたします。
若い人たち、例えば、最近よく耳にする「Z世代」(1990年代半ばから2010年代序盤生まれの現在10代、20代)の人たちにいかに会議所の活動に関わってもらえるかを考えています。
先日、「中高生みらいDESIGNワークショップ」というイベントの開催に協力しました。
小田原で中高生向けのキャリア開発の研修事業を展開している「一般社団法人 FROM PROJECT(通称:ふろぷろ)」が、人材開発を業務とする「ビスリーチ社」がこれまた中高生向けに開発した研修キットを使ってのワークショップです。集まった中高生15名を少人数のグループに分け、そこに既に仕事をしている大人(この人たちを会議所が紹介しました)に加わってもらいます。
プログラムは3ステップです。まず、ビスリーチが用意した資料を使って、今はどういう時代なのかを生活、ビジネス、経済、環境などの面から知り、次に中高生が大人に仕事の内容やビジョンについて質問をし、大人が答えます。それらを踏まえて、中高生がそれぞれに10年後の自分自身の姿を描いて発表します。
一連のワークショップを見学して、中高生の問題意識の高さとそれをしっかりと言語化し発信できるコミュニケーション力にびっくりしました。あの頃の私と比べたら、恥ずかしさを感じるほどでした。
今回のイベントの主催者である「ふろぷろ」もユニークです。組織の代表は20代の女性、事業の対象は中高生、そして、研修を進行するのはインターンの大学生と全てZ世代によって運営されています。日本では人口の15%しかいないZ世代ですが、世界を見れば40%。彼ら彼女はこれからの10年、20年、30年の世の中の主役になる人たちです。これからますます増大するであろう社会の様々な課題、例えば、経済的な格差、社内の分断、デジタル化、環境問題、気候変動などは彼らか彼女らにとってはまさに自分ごとで、その解決へのアクションは大人たちだけには任せていけない、任せておけないと感じている若者が少なからず存在すると実感しています。
若者に対して、私のようなシニア世代は「若者を育ててあげよう」とか「若者の意見を聴こう」とか言いがちですが、実は、自分で考え行動できる力を持っている彼ら彼女らはそんなことは望んでいず、ただ、やらせてほしいと願っている。私たちがすべきことは彼らが自由に考え実行できる環境整備なのではないか。大人と呼ばれる私たちが取るべき態度は、彼ら彼女らに知恵とエネルギーを貸してほしいとお願いすることではないかと感じるこの頃です。
地元にも素敵なZ世代がたくさんいます。彼ら彼女らに当所の活動に知恵と力を借りようと、例えば、現在準備中の小田原箱根大博覧会の企画と運営にも関わってもらうように進行中です。楽しみでなりません。